縮毛矯正でボブスタイル…乾燥して広がりやすい髪質の対策は?

接客業をされているお客さまが来店しました。その方はブライダルアクセサリーの販売員で、高価なものを扱うため、身だしなみに常に気を配り清潔感のあるスタイルを望まれていました。

来店されるようになって数年経ちますが、以前は会社事務をされており、その頃から比べると来店頻度は多くなりました。2カ月に一度はカット、カラー、トリートメント。そして半年に一度、縮毛矯正をされていきました。

肩に付く長さだと結ばなければいけない社則があったため、転職されてからは肩に付かないボブスタイルを希望されています。お手入れも楽でスタイルが長持ちするところが気に入っていただけたようでした。

乾燥し、広がりやすい髪質

半年に一度のペースですが縮毛矯正が必要になる髪質です。もちろん長くして結べば気にならないのですが、結ぶと言ってもちょっとしたアレンジが求められるようで、そのお客さまは「不器用なので毎日アレンジもできないし、結ぶと頭も痛くなるので短めにしたい」ということでした。

強いクセの方なら3カ月周期で縮毛矯正が必要になりますが、その方のクセはそこまで強くもありません。ブローでもしのげる程度のクセではあるものの、とにかく簡単にスタイリングできるようにと縮毛矯正をされていきます。

うねったりハネたりする様なクセではなく、部分的に細かくねじれているようなクセ。そしてとにかく多毛です。艶が非常に出ずらく、毛量も多いので黒髪だと本当に重く見えやすく、お顔の雰囲気からも黒ではない方が似合うのでほんのり明るくしていました。

2カ月に一度カットとカラー、半年に一度は縮毛矯正というサイクルなのでダメージを気にされていました。

色々施術していますが薬液によるダメージは少ないものの、元々のクセで広がりやすく、また乾燥しやすい髪質のためサロンでのトリートメントも欠かせませんでした。

持ちの悪さをヘアケアで補うには

毎回トリートメントをされていきますが、乾燥毛なのでやはり「持ち」があまり良くありません。 サロンでは、通常の髪質(クセが強くなく乾燥毛でない方)で、ローダメージからミドルダメージ程度で40~45日程効果が持続するトリートメントを導入していました。お客さまの来店周期 は2カ月、約60日程だったので来店される頃にはすっかりトリートメントの効果が無くなっていると感じていました。

来店周期がもう少し短くなれば常に良い状態をキープできるのですが、お客さまのお仕事がとても忙しく、またお休みもなかなか自由に取れないということで、来店周期を短くすることはできません。そこで、ヘアケア用品を変えてみてはとお話ししてみました。

その頃お客さまが使っていたのはドラッグストアなどで量販されているシャンプーとトリートメント。スタイリング剤は軽くヘアクリームを付ける時があるくらいで、毎日はしていないと言うことでした。

オーガニック系を避けた方が良い場合

知名度のあるシャンプーだったので成分を調べてみましたが、泡立ち成分である界面活性剤はばっちり高級アルコール系です。髪質や体質によっては高級アルコール系で問題ない方も中にはいらしゃいますが、乾燥毛の方には洗浄力が強すぎてしまい、ますます髪の潤いを奪ってしまう可能性が高くなります。まずはアミノ酸系のシャンプーをおすすめしました。

オーガニック系のコスメが好きな女性は非常に多いのですが、そのお客さまにはボタニカルシャンプーはおすすめしませんでした。ボタニカルシャンプーは植物由来の成分で作られており非常に優しい成分です。ただ、乾燥毛の方は植物由来成分の多いものより科学的な成分で作られたシャンプーの方が良い場合があります。

乾燥が進むと植物由来成分であるオイル系で髪をコーティングするだけではボリュームも収まらず、さらにパサつくことがあります。

科学的な成分は化合物で、何となく体に悪そうと嫌厭されることもありますが、分子量が小さいため毛髪内部にしっかり浸透することができます。その上で、植物系の整髪料を使えばオイルの重みでさらにしっとり収まりやすくなるでしょう。毛髪内部の水分量をまずは増やすことが重要です。

コラーゲンとエラスチンの相乗効果に注目

そのお客さまには、加水分解コラーゲンと加水分解エラスチンが配合されているシャンプーをおすすめしました。大抵、ヘアケアに特化した高機能シャンプーに配合されていることが多い成分で、どちらか片方だけ配合されているシャンプーも販売されています。

コラーゲンは保水、保湿の効果がある成分で、化粧水の名前にも使われているので知名度もあります。一方、加水分解エラスチンも優れた保湿成分ではあるものの大々的に宣伝されるこが少なく知名度ではやや劣ります。

エラスチンはコラーゲンに絡みつきその効果を支えてくれます。コラーゲンと一緒に配合されることにより相乗効果をもたらします。加水分解コラーゲン単独で配合されているより、加水分解エラスチンも配合されていれば保湿効果は高まります。そして加水分解エラスチンは植物エキスの効果を発揮させる働きがあることも知られています。

植物エキスはというと、種類に特に限定は無く、化粧品類などに一般的に配合されている成分ならどれでもその効果が認められています。

乾燥毛の方はエラスチン含有の商品を選んでみてはいかがでしょうか。そのお客さまの来店周期は2カ月のまま変わりはないのですが、髪の状態は確実に良くなってきていると手応えを感じられていました。