年齢による髪の広がりにボタニカルシャンプーと「すすぎ」の見直しを

長年通われているお客様が来店した時のことです。その方は20代からのお付き合いで、ずっとカット、カラーをされていました。

旅行代理店に勤務されており、接客業務をされているのでいつも身だしなみに気を使われる方です。来店頻度も高く、2カ月も経たないうちにいらしていただけるので、髪の状態は常に良いコンディションを保たれていました。

強くはありませんがクセがあり、広がりやすい髪質です。30代半ばから数本出た白髪を気にされていたので、カラーを白髪染めに変えました。40代になり、髪質や体質の変化を気にし、毎回トリートメントもされていくようになりました。

年齢による髪質の変化はさまざま

年齢を重ねるとどうしても気になってくるのが白髪ですが、そのお客様は元々、来店周期が短かったため白髪に関してはあまり気にされている様子はなく、それよりも髪が広がりやすくなったことを悩んでいました。

元々クセがある方は、加齢と共にクセが強くなる傾向があります。髪が痩せ、細くなることで髪本来の重みがなくなるので膨らみやすくなることが多いのです。女性の場合は個人差がありますが、出産によって髪質が変わりクセが和らいだ方も中にはいらっしゃいましたが、このお客様は年齢と共に広がるクセが強くなりました。

そしてここ数年で体調が変わったと実感されていて、お肌も乾燥するようになったとおっしゃっていました。お肌はあまり強くない方なので、カラー剤も地肌に付けないよう染めてきましたが、ここ1年程、耳の後ろにかゆみが出て、かさかさジュクジュクを繰り返していました。皮膚科に通っても耳の後ろのかぶれが一向に改善せず、不思議がられていました。

シャンプーとトリートメントで「すすぎ」は変わる

接客業務なので身だしなみには常に気を配り、また流行に敏感な方です。コスメやヘアケアにも 関心が高く、常に情報を求めておられました。乾燥が気になるので肌には保湿クリーム、ヘアにはアウトバストリートメント。2カ月に一度は美容院でもしっとり艶の出るトリートメントをされていました。

ご自宅でされているケア方法を聞いている時にふと思い当たったのが、トリートメントやヘアオイルなどをかなりしっかり塗っていて、それがかゆみにつながったのでは、と思いました。

乾燥を防ぎボリュームをダウンさせようとたっぷり様々なケア剤をつけているけれど、シャンプーにはあまり関心がないのも気になりました。

確認してみると、「お風呂が暑いから」という理由で、わりとシャンプーの泡立てやすすぎは簡単にしていたということが分かりました。

シャンプーは汚れを浮き上がらせる大切な工程ですが、それ以上に大切なのは「すすぎ」です。髪や地肌にシャンプー剤が残っていると乾燥を引き起こし肌荒れにつながります。泡立ては念入りにされるのにすすぎはサッとで終わってしまう方が多いようです。頭皮の乾燥や肌荒れがある方は一度、ご自分のすすぎ方を見直してみると良いでしょう。

その後のトリートメントは逆に流しすぎに注意します。 せっかく指通りを良くするために付けているのに、流しすぎると当たり前ですが効果が出ません。

「頭皮に残ったら毛穴を塞ぐので良くないのでは?」

とよく質問を受けますが、皆さんトリー トメントの付け方が良くない場合が多いのです。

トリートメントは髪の毛先を中心につけます。地肌近くにはつかないようにしましょう。そうすれば地肌を塞ぐことなく、髪も絡まる事はありません。トリートメントはさっと流すだけにする。簡単なことのようですが、案外正しくできている方が少ない印象です。

年齢による髪の広がりにボタニカルシャンプー

肌荒れが気になるそのお客さまにはボタニカル系のシャンプーをおすすめしてみました。

「ボタニカル」とは、植物を意味します。天然由来の植物系シャンプーは今や大人気になっており、たくさんの種類が発売されています。ノンシリコンシャンプーもちまたに随分と浸透しましたが、ボタニカルシャンプーも今や定着しつつあります。

化粧品では随分前から天然由来成分で作られたものが発売されていましたが、シャンプーはあまり種類がなくごく一部しかリピーターがいませんでした。おそらく、シャンプーとしての性能があまり良くなかったためでしょう。内容成分は良いけど泡立ちが悪く、きしむ製品が多かったのです。

現在はその点が改良され、優れたシャンプーがたくさん発売されています。ボタニカル系シャンプーはノンシリコンシャンプーと洗浄成分は似ています。 使われている洗浄成分(界面活性剤)は石油系ではなくアミノ酸系で、過度に油分を落とし切らないのが特長です。

ボタニカルシャンプーとノンシリコンシャンプーの違い

大きな違いは植物由来成分がふんだんに配合されていることでしょう。明確な線引きはありませんが、成分表を見て、知っている植物の名前のついた成分がたくさん配合されているものを選ぶと良いと思います。

加齢により髪が広がりやすくなった方は天然由来のオイル系がたくさん配合されているシャンプーがおすすめです。

  • アルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)
  • ツバキ種子油
  • ホホバ種子油
  • ヒマワリ種子油

などが一般的ですがこれらが含まれたシャンプーはしっとりと重みが出て扱いやすくなります。

頭皮のかぶれはパラベン、香料、着色料などが刺激になりやすいので避けると良いでしょう。

オーガニック系に興味を持ちながらも「シャンプーはドラッグストアで安いものを買っていた」とおっしゃっていたそのお客様。その後の来店で伺うと、シャンプーを早速変えたら髪の乾燥が以前より気にならず、収まりが良くなったそうです。

肌荒れに関しては劇的な改善はないものの、悪化はしていない模様。「すすぎを気にするようにしてから調子がいいのよ」と大変喜んでおられました。